2013年度環境関連予算(環境省編)

復興支援、温室効果ガス削減等3本柱の施策を展開

2013年度の環境省予算は、「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安全・地域活性化」の3分野を重点として編成された。その中では、除染・がれきの処理、三陸復興国立公園の創設などによる東日本大震災からの復興・復旧に取り組む。環境技術を駆使して、環境負荷低減と経済成長の同時実現を目指している。暮らしの安全と地域活性化に環境面から貢献する施策を進めるとしている。

放射性物質による環境汚染に除去への取り組み

東日本大震災からの復旧・復興事業の中でも、第一に重視されているのが、放射性物質による環境汚染への対応だ。除染特別地域における生活圏の除染の推進、除去土壌の減容化、除染実施後の放射線量の監視、線量が相当高い地域における除染実証事業、地方公共団体による除染等への財政支援などに事業に、497,796百万円の予算が確保された。

しかし、除染された除去土壌の最終処分については、現時点で明らかになっておらず、そのため福島県内に汚染土壌を一定期間保管する中間貯蔵施設を設置するとして、その調査と詳細設計のために14,645百万円の予算が確保された。

住み慣れた土地から離れて暮らさなければならない多くの被災者の方のためにも、効果的な除染技術の開発と速やかな作業の進行が望まれる。

放射性物質に関する調査・研究・モニタリングでは、放射性物質の環境中での動態、野生動物への影響、汚染された廃棄物・土壌の処理に関する科学的知見の集積を進める。水環境、地下水、被災地影響海域の環境関連モニタリング調査に前年度を上回る調査経費が計上されている。

災害廃棄物処理は広域処理への支援を増額

震災で発生した災害廃棄物の収集・運搬・処分に関する経費は、通常2分の1の補助率を10分の8から10分の9に嵩上げして補助されているが、その補助金額は前年度の3分の1程度に抑制された。市町村から要請があった場合に国が代行して災害廃棄物処理をする災害廃棄物処理代行事業も大幅に予算が減額となった。

一方で、県内処理のみでは2013年度末まで処理が困難であるとして、広域処理の支援予算が大幅に増額された。災害廃棄物を受け入れる自治体での放射能測定調査等の事業が行われることになる。

三陸復興国立公園の創設で復興支援

昨年5月に策定された「三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興ビジョン」に基づき、既存の国立公園での復旧整備を含む新たな国立公園や東北海岸トレイルの利用拠点の施設整備などの事業に、前年度の2倍の予算が計上された。この整備を活用して、自然と共生して自然の恵みを活かす文化の再生が期待される。森・里・川・海がつながる地域の資源を活かしたエコツーリズムや都市との交流事業、環境教育事業等、地域の方々が自らの資源を活用した事業を自らの力で展開していくことが期待される。

低炭素社会創出に向けて投資を促進

温室効果ガスを削減し低炭素社会を実現するためには、巨額の投資が必要とされる。既存ビルの改修に際しては改修資金額確保できない等の問題があるところから、老朽不動産の改修に必要な投資を支援する官民ファンドの創設には、国土交通省と連携して50億円が2012年度補正で措置された。

今年度は、民間資金が十分に供給されない低炭素化プロジェクトに対して投資の呼び水とするため、地域低炭素投資促進ファンドに21億円の予算が計上された。

日本の低炭素化技術をアジア各国の低炭素化に活用するための実証事業である、アジアの低炭素社会実現のためのJCM大規模形成支援事業には新規に約11億円の予算が計上された。二国間オフセット・クレジットの構築等事業にも前年度を上回る約35億円の予算が計上され、日本の技術を海外で活用するための事業が進められる。

再生可能エネルギー導入の飛躍的拡大へ

低炭素社会の実現に向けて、「自立・分散型エネルギーシステム」の構築に向けて再生可能エネルギーを加速度的に導入する政策が打ち出された。

その中で、寿命の長い社会基盤整備の中に低炭素価値向上につながる事業を取り組むための、低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援基金に、新規に76億円の予算が計上された。他省庁事業と連携して低炭素価値向上につながる社会基盤を整備するものも多く、具体的に対象とされている事業には、鉄道活用型の低炭素物流事業、物流システム低炭素化事業、エコレールライン事業(以上国土交通省連携)、病院等の低炭素・災害対応型事業、上下水道システムにおける革新的な技術導入事業(以上厚生労働省連携)、省エネ型データセンター構築事業(総務省連携)、地中熱利用ヒートポンプ技術導入事業などが掲げられている。

この他にも農林水産省と連携した、木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域推進事業に12億円、地域循環型バイオガスシステムモデル構築事業に5億円の新規事業予算が計上された。風力発電、地熱開発にも具体的な事業予算が計上されている。

低炭素社会につながるライフスタイルの追求

低炭素社会の重要性の理解を国民に広く浸透させるための取り組みが重視される。地球温暖化について国民に身近で分かりやすい場情報を提供し、リアルな理解の促進を目指すとして、そのため6億円の新規事業予算が計上された。

家庭向けのエコ診断推進のための予算は、前年比175%増となり、HEMS活用によるCO2削減推進事業にも前年度と同額の予算が確保された。さらに家庭・事業者向けのエコリース事業にも前年同額の予算が確保されたことで、家庭向けの省エネ推進ビジネスは今年も追い風が吹く。

災害に強い廃棄物処理等で地域の安心と活性化に貢献

産業廃棄物処理施設の防災対策を推進して、災害に強い廃棄物処理システムを構築することが、循環型社会形成推進の事業の中に盛り込まれた。

レアメタル等を含む小型電子機器等のリサイクル推進事業には、前年度の約5億円の補正予算に続いて、今年度も4.5億円の新規事業予算が計上された。多くの自治体の参加で取り組まれることによって、レアメタル等の回収が進み循環利用が推進されることが期待される。

国立公園を活かして地域活性化

日本の自然を生かして地域活性化を推進する事業に、約13億円の新規事業予算が計上された。訪日外国人からも日本の自然や文化には高い関心が寄せられており、日本の自然の魅力の効果的な発信やより深く自然を体験できるプログラムや施設の整備が行われる。ジオパークと連携した国立公園の新たな魅力を創出する取り組みやエコツーリズムの推進等で、国内外からの利用者を増やす取り組みが進められる。