環境ビジネスの視点

「環境の世紀」といわれる21世紀。自律的発展段階に入った環境ビジネスは、今後どのような場面で躍進し、その価値を高め、持続可能な発展に向けた社会構築の中で定着していくのか? このコーナー「エコビズの視点」では、環境ビジネスを取り巻くさまざまな事象をテーマとして取り上げ、エコビジネスネットワーク独自の視点で解説していきます。(不定期更新)

インフラ長寿命化を支える再生事業

作者: 安藤 眞 2012年 3月 01日(木曜日) 22:57

▼日本の建設業界も欧米並みにスクラップ&ビルドから再生重視の時代へ。古くなった建築・建造物を壊して立て替える新築・更新から、改修・補修を加えて長寿化を図る市場への転換期を迎えている。築制年以上の戸建て・集合住宅から公共建築物まで社会全体にストック建築物の長期利用に対する理解がじわり浸透してきている。集合住宅についていえば、これから改修・補修を必要とする棟数は250万に及ぶ。また高度成長期に集中的に整備された橋、ダム、港湾など社会インフラの多くが50年を経過。急速に老朽化している。これらの再生に係わる事業分野には、新たなビジネスチャンスがいっぱいなのだ。

▼特に社会インフラの老朽化で更新・維持費の急増は公共事業の抜本的な見直しの時期が来ていることを示している。12年度の国土交通省白書原案には、10年度の国と地方を合わせた公共事業費は8.3兆円。現状でも更新費(0.9兆円)と維持管理費(3.3兆円)で50%を占める。これから耐用年数を超える社会インフラを、同じ機能で一律に更新した場合、37年度には更新費4.4兆円増。維持管理費や災害復旧費と合わせた額は8.3兆円を上回ると試算。その後も更新費は増えるため公共事業費を10年に据え置くと60年度までの50年間で、必要な更新費は約70兆円となり、更新費の捻出はまず不可能。

▼国交省は、その回避策として点検の頻度を上げ、修繕・補修に力点を入れた老朽化対策を導入すれば、維持管理費は増大するものの、更新費は大幅に抑えられるという。例えば全国に15万ある道路橋はあと10年もすれば老朽橋が急増し膨大な額の架け替え費用が発生する。同省が各自治体に策定を働きかけている「長寿化修繕計画」は従来型の修理・架け替えでなく、計画的な維持保全を進める長寿命化へと転換している。こうした変化の中で、新たな商機を得て、建設業の業体変化が注目されるところ。

   

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