環境ビジネスの視点

「環境の世紀」といわれる21世紀。自律的発展段階に入った環境ビジネスは、今後どのような場面で躍進し、その価値を高め、持続可能な発展に向けた社会構築の中で定着していくのか? このコーナー「エコビズの視点」では、環境ビジネスを取り巻くさまざまな事象をテーマとして取り上げ、エコビジネスネットワーク独自の視点で解説していきます。(不定期更新)

太陽光発電の今後

作者: 安藤 眞 2009年 11月 29日(日曜日) 20:41

国連気候変動サミットの開会式で、鳩山由紀夫首相は「鳩山イニシアチブ」として、米中などの削減努力を前提に、2020年までの日本の温室効果ガスを 90年度比で25%削減と、国際的に公約した。その数値の実現可能性はともかくとして、環境技術立国・日本の存在を世界へ向けて発信した意味は大きい。
CO2の排出抑制の柱の一つが明らかに太陽光発電だ。日本国内では、05年を最後に設置時の補助金制度が終了し、普及率が鈍化した。しかし本年09年に補助金制度が復活した一方、この11月には電力の買い取り制度も始まることになった。普及率世界一奪還を目指す考えだ。家庭の太陽光発電に限り、使いきれなかった余剰電力を現在の2倍の価格(1キロワット時あたり48円)で電力会社が買い取る制度だ。政府は30年までに太陽光発電を現在の40倍(5300 万キロワット)に拡大するという。
そうした中、住宅最大手の積水ハウスは太陽光発電を屋根の上に設置したアパートを販売する。発電した電気は入居者に分配し、余った電力は各世帯が直接、電力会社に売電できる。これまで戸建て住宅に限られていた太陽光発電が住宅着工の4割を占める賃貸の集合住宅に普及しそうだ。将来的に未使用のままになっている公団住宅の屋上が大規模な太陽光発電所になる可能性も。
太陽光発付きのアパート建築には一棟四戸の標準タイプで約560万の追加費用がかかる。オーナーは家賃収入から資金回収の必要があるが、太陽光発電への国の補助金制度などを利用すれば、一戸あたり5000円の負担で済むし、さらに余剰電力を電力会社に買い取ってもらえれば、負担は大きく軽減できるのだ。東京地区のアパート一世帯の光熱費は通常、年間13万5700円かかるところ、買い取り制度利用で年間6300円に抑えられるという。昼間、太陽光で発電した電気を利用して電力会社から購入する電気を減らしたり、余った電気を売って電気代を相殺したり出来るためだ。入居者は家賃の上乗せ分を考えても支出を減らせる計算だ。
09年4~6月の国内の太陽光発電市場は前年同期比で、1.8倍に拡大。"太陽光アパート"の登場で、需要拡大に拍車がかかりそうだ。

   

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