環境ビジネスの視点

「環境の世紀」といわれる21世紀。自律的発展段階に入った環境ビジネスは、今後どのような場面で躍進し、その価値を高め、持続可能な発展に向けた社会構築の中で定着していくのか? このコーナー「エコビズの視点」では、環境ビジネスを取り巻くさまざまな事象をテーマとして取り上げ、エコビジネスネットワーク独自の視点で解説していきます。(不定期更新)

食品廃棄物リサイクルとビジネス

作者: 安藤 眞 2011年 12月 05日(月曜日) 00:15

▼経済活動が減速、低迷すると、自ずと事業所や家庭で排出される廃棄物の総量は減るものだがここ10年間、廃棄物の量が減ることなく排出されているのが生ごみ(食品廃棄物)である。日本国内の1年間の生ごみの総排出量は2200万トン。内訳は食品メーカー(原料の不要部分など。産業廃棄物)約500万トン、コンビニ、スーパーなどの流通業(売れ残りなど。事業系一般廃棄物)約300万トン、レストラン・給食センターなどの外食産業(調理くず、食べ残しなど。事業系一般廃棄物)約300万トンで、計1100万トンだ。残りは家庭からの家庭系一般廃棄物1100万トンとなる。01年に食品関連事業者を対象にした食品廃棄物リサイクル法が施行されるもリサイクル率は約30%と低迷。

▼一方、国内で消費される食品・原料は年間約9100万トン。そのうち自給率(カロリーベース)は1961年78%から年々減少して98年以降は約40%で推移している。ちなみに先進国の食料自給率は、オーストラリア234%をはじめ軒並み100%を超えている。食料自給率が低く、海外に依存する現状の中で年間約2200万トンが生ごみとして排出されているのだ。つまり食品・原料の約4分の1が結果として廃棄物になっている計算だ。

▼現在、食品廃棄物リサイクル法対象の生ごみに対しては、飼料、肥料、油脂、メタン発酵させてのメタンガスなど、さまざまなリサイクル事業が立ち上がってきているものの、いずれも苦戦を強いられている。理由のひとつとして、リサイクル費用を払うよりも事業系一般廃棄物扱いで生ごみを家庭の生ごみと一緒に焼却処分してもらったほうが安いからだ。大手の食品メーカーの一部では、生産ラインから出る廃棄物は再生品として商品化される副産物ビジネスとして成立しているが、その割合は微々たるもの。

▼これから制度改革で自給率アップやリサイクルのビジネス・チャンスも拓けるが、海外に食料を依存しながらも国内では膨大な生ごみを排出し続ける日本の食生活の再考も迫られているのだ。

   

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