ベスト・ミックスを図りながら新エネへ移行

▼菅直人元首相が成立に意欲を燃やしていた再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度関連法案(再生可能エネルギー特別措置法)が8月26日に国会で承認された。産業界ではこの法案をめぐり意見が割れた。賛成派の多くの企業は新たなビジネスを拓く法案と受け止め、一方、反対派は経営リスクが大きい制度と批判する。

▼賛成派は電機メーカーや商社等で、再生エネルギーが21世紀の成長分野とみて積極的に事業投資に踏み切っている。化学や鉄鋼等の反対派は「電力会社の買取にかかる費用は電気料金に上乗せされる。費用負担を軽減するために海外へ出ざるをえない」とけん制。早い話が時代の変化に自らも変えられる産業が賛成にまわり、業態変化率の低い産業が反対するという図式になっている。

▼「再生エネ法」とは太陽光、風力、バイオマス、地熱、中小の水力を電源とした電力を最長20年間、電力会社が固定価格で買い取る制度。元々は温暖化防止が目的だったが、原発事故で、代替エネが普及する制度として注目されている。法案を策定した経済産業省も「再生エネルギーを普及させる目的では最強の切り札」という。再生可能エネによる発電へ参入を狙う事業者には買い取り期間・価格が明確になり、投資のリスク計算、事業計画を立てやすい利点があるものの、買取価格の電気料金への転化、再生エネの電力供給に支障が生じた場合、電力会社の判断で買取を拒否できる例外規定もあり、注視したいところ。

▼これから10年は従来の化石燃料、原子力等を電源としたエネルギーと新しい再生可能エネルギー、水素等を電源としたエネルギーとのベスト・ミックスを図りながら新エネへ移行することは、環境面、人命の安全はもちろん、日本のエネルギーの安全保障の観点からも、まず間違いないとみる。