生物多様性と環境ビジネス

2010年10月に名古屋で開催される「生物多様性条約第10会締結国会議」(COP10)が近づくにつれ、日本国内でも生物多様性の保全に乗り出す行政、企業、市民が増えている。地球環境の悪化は温室効果ガスの排出削減だけでは不十分だという考え方が浸透してきている。人間が生きていけるのは、地球の生態系を相互に支える、生きとし生ける多様な生物からの恵みがあればこそ。今後、企業は生物多様性の保全への取り組みが社会貢献にとどまらず、本業でどう取り組むかがポイントとなってくるだろう。
生物多様性とは、地球上には3000万種ともいわれる生物が存在するが、開発や乱獲、戦時下において毎年4万種が絶滅しているといわれる。生物の保全はもちろん、生物資源をいかに持続可能な方法で利用するか、そこから得られた利益を原産国にどう分配するかも、国際的な議論に発展している。従来の自然保護活動は、企業にとって社会貢献の意味合いが強い。しかし、生物多様性への取り組みは、本業との関係が問われる。生態系を損ねない姿で採取されたものを利用する事を考える企業も一部現れている。大手流通会社では、扱う海産物に「海のエコラベル」を付けて販売中。ラベルは資源管理や環境保全に配慮して捕獲されたことを国際機関が認証したもの。一方、建設会社では、生物多様性を事業に生かす動きも。生態系豊かな自然環境を創出することで、資産価値を高めるという発想だ。
そうした取り組みの背景には、国際的な問題意識の高揚がある。食品などに多く利用されるパーム油の原料、アブラヤシの大規模植林によって、熱帯林が破壊され、多様な野生生物が絶滅の危機に追い込まれている。海外では製品の不買運動も起きた。生物多様性条約の06年の締結国会議では、企業活動は生物多様性に重大な影響を与えている割には貢献が少ないとして、企業の取り組みを促す初の決議が採択された。
生物多様性の保全の取り組みが広がる中で、企業支援のためのさまざまなビジネスチャンスの芽が見えてきた。08年の春には「企業活動と生物多様性イニシアティブ」という団体へ大手18社が参加し、活動を始めている。